脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の鍼灸治療
当院では、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症のフラツキによる歩行困難や喋り辛い、飲み込みにくいなどの症状に対し少しでも改善し、症状の進行を抑えれる様に治療を行っています。
患者様と患者様のご家族が笑顔になって頂ける様、症状だけではなくご家庭の生活でのアドバイスやお悩みご相談など寄り添った治療をさせて頂きたいと思っております。
病態
症状
- 歩行時のふらつき
- 話しにくい(構音障害)
- 飲み込みにくい(嚥下障害)
- 物をつかみにくい
- 字が書きにくい(書字困難)
- 景色が揺れる(眼振)
などの症状を特徴とした疾患で、小脳と脊髄の萎縮が起こる事によっておこります。
初期症状は、よくつまずく、階段を踏み外す、自転車が乗りにくい、物を掴み損ねる、目が見えにくいなどの平衡感覚に関する症状が出てきます。
症状の程度によっては、自律神経症状(便秘 食欲不振 不眠 排尿障害 頭がボーっとする)が出てくる事もあります。
分類
脊髄小脳変性症は家族性(遺伝性)に発症し、多系統萎縮症は孤発性(非遺伝性)に発症します。
遺伝性
- SCA1
- SCA2
- SCA3
- SCA6
- SCA31
- 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 など
非遺伝性
- 皮質性小脳萎縮症
- 多系統萎縮症(MSA)
- オリーブ橋小脳萎縮症
- 線条体黒質変性症
- シャイ・ドレーガー症候群 など
東洋医学的見解
特徴的な症状である、歩行時のふらつきは、体と感覚のずれ(平衡感覚のずれ)によっておこります。それを統合しているのが小脳で、運動の指令の伝達をしているのが脊髄です。
こういった運動は、赤ちゃんの頃から色々な運動経験をする事(歩行の獲得 転ぶ 遊ぶ スポーツをする)で学習し平衡感覚として体に記憶されていきますが、そういった記憶された平衡感覚が分かりづらくなり、正確に把握できなくなった状態が、歩行時のフラツキなどの症状として出ています。
これを東洋医学的に考えると、感覚と運動の連動は、気の運行によって行われていて、この気の運行が正常に行われなくなると体と感覚のズレが生じてしまいます。
この感覚のズレは、病的な場合ではなくても起こります。
例えば、
- お子さんの運動会で、久しぶりに走ったお父さんが足がもつれて転ぶ
- 暫く風邪で寝込んでいて、久しぶりに外に出ると何か歩くのがぎこちない
- テスト明け久し振りに部活に出たら、上手く体が動かない
など、体と感覚のズレは日常でも起こっています。ですがそのズレは、動く事で気が巡り正しく修正します。年齢を重ねるごとにその修正のスピードは遅くなっていきます。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の場合は、こういった感覚のズレが起こり、それが修正しづらくなる事が、各々の症状を発症する原因の一つではないかと考えています。ですので、気の運行を阻害している因子(便秘 不眠 五臓六腑の異常 運動不足)を治療により取り除き出来るだけ進行を緩和にし改善させる事が必要になってきます。
当院の治療方針
便秘や不眠、五臓六腑の異常を全身の状態を診させて頂き改善させて行きます。
実際の画像診断による進行度に比べて、症状が進行しているという事が多いので、そういった基盤となる体の調子を整える事で実際の症状を緩和できると考えています。
また、それにプラスして日々の運動によるアドバイスや養生法を提案して長期に渡り歩行や身の回りの事がご自身で出来る様に維持できる事を目的に治療していきます。