複視について
複視は物が二重に見える症状で、片目で見ると正常に見える両眼複視と片目で見ても二重に見える片眼複視があります。片眼複視は乱視や白内障など目に由来する原因で起こる事が多く、両眼複視は脳神経麻痺や糖尿病性の神経障害や重症筋無力症などが原因で起こります。中には原因不明に起こる事がありそういった場合や後遺症としての複視は鍼灸治療をする事ができます。
複視の原因(眼球を動かす筋肉と神経)
眼球を動かす筋肉には6個あり、それらの筋肉を動眼神経、滑車神経、外転神経という3つの脳神経が動かしています。そして左右の眼球の共同運動は脳幹で巧妙に調節して行われています。
両眼性複視の原因は、6個に筋肉の異常、3つの脳神経の異常、脳幹の異常によって起こります。
眼筋の異常
重症筋無力症、甲状腺眼症、眼窩筋炎など
脳神経障害
脳動脈瘤、外傷、ギランバレー症候群、糖尿病神経障害、脳腫瘍など
脳幹障害
脳梗塞、脳腫瘍など
複視になったらまず病院に
原因からみられる様に、複視は脳由来の障害であることが多く、緊急性がある疾患も含まれるので、急に物が二重に見えると感じた時は直ぐに病院に行くようにしてください。
後遺症や原因不明の複視は鍼灸治療
病院を受診して一通りの治療を受けても、複視の症状が残るという場合や原因不明の複視を早く治したいという場合は鍼灸治療をお試しください。
特に原因不明の外転神経麻痺は、当院の経験では、だいたい2.3回の治療で眼球が動き始めそこから10回程でほぼ正常に見えるまでに回復する方が多いです。
複視の改善症例
脳幹出血後の複視
〇症状
数か月前に物が二重に見える様になり、病院での検査で脳幹出血と診断。
即入院で出血の処置を受け、複視の症状が出ているとの事で状態で当院を受診されました。
〇治療方針
左目の眼球が外に行きにくい、外転運動の障害が出ている事を確認したので、その運動に関する神経の麻痺を改善する事を目標に治療を開始しました。
〇経過
治療をする度に回復している様で、複視の範囲が狭くなってきたり、道路の線が自分に迫ってくるような見え方をしていたのが無くなったりと日に日に良くなっています。眼球の動きも外転が少しづつ出来る様になってきています。
治療による眼球運動の変化
・初診時(8/22)の眼球の動き
左の眼球が外側に動ききっていない。
左右の眼球の協調性も少しズレている。
14回目(11/8)の眼球の動き
初診時に比べて外側に行くようになっている。
左右の協調性が出て来て揃いはじめている。
治療の見解
治療を始めた当初から“見え方”には改善がみられましたが、眼球そのものの動きはごくわずかな変化に留まり、明らかな回復とは言えない状態でした。
このため、初期の改善は 脳幹の出血によって障害されていた部分が徐々に機能を取り戻し、それが視覚としての改善に表れた と考えられます。
鍼灸治療は身体全体の状態を整えていく施術です。体調が回復していく過程で、結果として 脳の障害部位の回復にも良い影響を与えた のだと思われます。
継続して治療を続けていく中で、見え方の改善はさらに進み、それに伴って眼球の動きも徐々にスムーズになってきました。
上の11/8の動画にあるように、左右の眼球運動の協調性も回復し始めています。
つまり、脳の回復が進むとともに、眼球を動かす筋肉の麻痺も改善してきた という流れが考えられます。
発症初期という事もあり、体が治ろうとする力が大きい頃に、鍼灸治療で全身の状態を整える事ができた事で、回復を後押しする事ができ早い回復につながりました。
発症から早い段階での治療開始が効果が出易いですが、数年たった慢性化した複視でも鍼灸治療を開始してから改善したといった症例もありますので、是非一度ご相談ください。



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