『黄帝内経』という中国最古の医学書があります。その中には人の生理学や解剖学、養生、治療学が書かれていて現代の東洋医学の原点である書典です。その中から(春の養生)についてお話したいと思います。
『黄帝内経』の中では春は(発陳)と表現され、陳(古き)を発する季節です。春は植物などをみると冬が終わり伸び伸びと新芽を出します。人も同じように伸び伸びと身体が活動を始める時期で、その時に身体に溜まっている毒素を体外に出す動きをします。この時期に鼻水やくしゃみ、急な発熱、発疹などで悩まされる方は多いのではないでしょうか?
陳(古き)とは身体に溜まった毒素と言いましたが、これには個人差があり、日ごろから養生を心がけている方や、運動で常時放出している方はそこまで症状は強くでません。(養生していてもその時の体の弱り具合ではかわります)逆に不摂生・運動不足の方はこの時期に体調不良になりやすいという方が多いのではないかと思います。今年体調が悪い、花粉症の症状がひどいという方はここ一年の過ごし方を見直してみて下さい。
さて(春の養生)ですが、『黄帝内経』には「早寝早起をして、髪は結わず解きほぐし、ゆっくと庭を歩き、志を生じさせ、生かして殺すことなく、与えて奪うことなく、褒めて罰することなくする。これが春に応じた道である」と書かれています。訳すると(自然の時間の流れと同じように夜には寝て朝起きましょう、髪や衣類は窮屈にならないようにゆったりとして、夢や希望を持ち、決してそれを否定する事なく、人に対しても希望を与え、また決して否定する事なく、叱らず褒めましょう。)というような意味で要約すると、全ての事物に制限をかける事なく伸び伸びと生活しましょうという事です。
春は生き物が成長し始めようという季節なので、上に伸びようとする力が強く、押し付けてしまうとそれに伴う反動も大きくなってしまいます。直ぐに反動が出なくても後に出てくるという事もありますのであまり制限をかけすぎるのはよくないです。
春は新しいスタートを切る時期ですので、しっかり節制をして、夢や希望をしっかりもって前向きに、過去を振り返りセンチメンタルになる事なく、部下を褒めて怒りすぎる事なくすごしてみてはいかがでしょうか?
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